君が僕の名を呼ぶから
『凉子に紹介したい人がいるんだ』




『どんな人?』




『僕の親友とその彼女。彼もね、僕たちと同じように彼女と長い間離れてて、やっと再会できたんだ。でも、彼女は障がいを持ってて……もうながくないらしいんだ』




涼子はしばらく僕への返事をできずにいた。




『その彼は、彼女から離れようとはしなかったの?』



『しないよ。彼女の運命をしっかりと見据えて、一緒にいることにしたんだって。彼女のことを愛してるから』




僕がそう綴ると、涼子は表情を柔らかくした。




『会いたい。外に行こ?』




僕はうなずき、涼子の手を握って部屋を出た。


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