君が僕の名を呼ぶから
「翼!」




聡史は嬉しそうに僕の名前を呼んだ。




隣には、それは綺麗な女性が立ってる。




「涼子だよ。」




彼女はペコリと、僕と真希に頭を下げた。




「翼くん。あの子、だあれ?」




真希は、突然現れた涼子さんに戸惑っているようだった。




「あの人はね、聡史の世界で一番大切な人だよ。」




僕がそう言うと、真希はニコッと笑い、涼子さんの前に立った。




「こんにちは!」




真希はそう言ったが、涼子さんには聞こえない。




「真希。涼子さんは耳が聞こえないんだ。」




「耳が、きこえない?」




「音とか声が聞こえないんだ。」




……真希がどう思うか心配だった。




しかし、真希はそんな僕の心配を他所に、ニコニコ笑いながら、涼子さんの腕を引っ張る。


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