君が僕の名を呼ぶから

「もう夏みたいだね。」




「……うん。」




桜はあっという間に散り、辺りは新緑に覆われ、蝉が鳴いていれば間違いなく夏と思うくらいに暑い。




もうすぐ梅雨に入る前触れかもしれない。





「……よく考えてみれば、田山さんと城山さんは僕たちと一緒の班になりたいって思ってるよね。」




そんな季節の移り変わりを感じる帰り道、



聡史はしみじみとそう言った。




「それに……こうなってほしくないなって思うときは、大体裏切られるよ。」




「……そうかもね。」




……彼女たちが、もしまだ僕たちそれぞれに好意を抱いているとしたら、




聡史の言う通り。




……打たれ強い心を持っていると、尊敬の念さえ抱ける。
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