君が僕の名を呼ぶから
「平岡くん、松田くん。」
それからしばらく日が過ぎたころ、城山さんと田山さんが僕たちのもとへやってきた。
田山さんは、城山さんの後ろでオドオドしているように見える。
「今度のセミナー合宿なんだけど、他の人たちは決まっちゃったみたいで、私たち4人で班を組まないといけないみたいなんだよね。」
……僕は城山さんのその言葉を聞いて、聡史の表情を盗み見た。
聡史は、一切表情を変えずに真顔で二人を見ていた。
まるで氷の仮面を着けているみたいだ。
「だから、この4人で登録申請しちゃっていいかな?」
「……いいよ。」
聡史は、抑揚のない声でそう言い、僕に同意の返事を求めるように目配せをしてきた。
「……はい。」
僕たちの返事を聞くと、2人は満足そうにその場を去っていった。