君が僕の名を呼ぶから
……そう思っていたけれど、



二回生になった春。



僕の運命を変える出逢いがあった。




「……平岡くん?」




食堂で食事を食べていると、僕の名前を呼ぶ、聞き慣れない声が聞こえた。




「……はい?」




そこにはかわいらしい表情をした男の子が立っていた。



……僕の記憶の中には、こんな子はいない。




「僕のこと、知らないって顔してるね。一応、同じ学科なんだけどな。」




……本当に?




「……ごめんなさい。」




「いいんだ。多分、平岡くんは僕のこと知らないだろうなって思ってたし。」




彼はそう言って笑い、僕の前の席に腰をおろした。




「僕の名前は松田聡史(まつださとし)。」




「うん……何か用?」




「僕と友達になってほしいなぁって思って声をかけたんだけどな。」




……えっ?僕と友達に?




「……どうして僕なんかと?」




「友達になりたいのに理由って必要かな?」




彼の笑顔に、僕は少し驚いていた。
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