君が僕の名を呼ぶから
「ねぇ、今日は何をするの?」




翼は、本当に何にも知らないみたい。




不安そうな表情を浮かべて、僕に尋ねてくる。




「あのね、班でオリエンテーリングだって。」




「オリエンテーリング?」



「うん。何か自然とか文化に触れるのが目的みたい。」




……セミナー合宿とか言っといて、内容はほぼ遠足みたいな感じ。




……これ、やる意味あるのかな?




「ふーん……。面倒だね。」




「うん。本当に。」




翼と2人ならまだしも、彼女たちが一緒なのが痛い。



彼女たちに、冷たい態度をとることしかできない自身も、そしてそれに負けない彼女たちの真っ直ぐさも、



何もかもが痛かった。




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