君が僕の名を呼ぶから
お城の庭園は、きっちり整備されていて、
田山さんの言った通り、中央にある池がとっても綺麗だった。
「……何か不思議な感じ。」
僕の隣を歩いて、彼女たちの後ろを歩いていた翼は急にそんなことを呟いた。
「何が?」
「……ん?何か上手く表現できないけど、そう思うんだ。」
「……そうかもね。」
僕は翼に、深く頷いた。
「……あれ?何だろ?」
しばらく辺りを歩いてると、田山さんが声をあげた。
目線の先には、おばあさんがうずくまっているのが見えた。
「おばあさん、大丈夫ですか!?」
城山さんはすかさず声をかける。
「いやぁ、少し疲れてね。家はすぐそこなんだけど、歩けそうになくてね……。」
……熱射病かな?見た感じがそうだけど……。
「家まで送ります。」
そう言ったのは田山さんだった。