君が僕の名を呼ぶから
「いやぁ、ありがとうねぇ。助かったよ。」
「いえいえ。これからは気をつけてくださいね。」
僕たちは、おばあさんを送り届けて、翼たちのもとへ歩き始めていた。
「……あの、私、松田くんに何か悪いことしたかな?」
「……どういうこと?」
田山さんは、急に元の弱気な姿に戻っていた。
「……だって、松田くん、いつも不機嫌な顔してるし、私が告白したときも、無視だったし。」
……彼女は多分、相当な勇気を出して、僕に質問を投げ掛けてきてる。
僕が、どうして翼以外の人間に冷たい態度しか取っていないのか、自分の恋は間違ったものだったのかを知りたくて。