君が僕の名を呼ぶから
〜翼の回想〜
「つばさくん、あしたからどこにいくの?」
「ようちえんだよ?」
「ようちえんってどんなところ?」
「みんないっしょにあそんだりするんだよ?」
「つばさくんもいっしょ?」
「うん!いっしょにようちえん、いこうね!」
「うん!」
……そんな会話を、僕は忘れたことがない。
キラキラ輝くその笑顔も。
たまに見せる困ったような表情も。
彼女と過ごした時間は全て忘れられない大切な記憶として、脳の奥に焼き付いてる。
彼女の名前は、笹川 真希(ささがわまき)。
僕の初恋の女の子で、一生忘れられない大切な人。
「あのねー、まきはつばさくんのことだいすきだよ!」
「うん!ぼくもまきちゃんのことだぁいすき!」
何の気なしに言えていた「だいすき」という言葉も、今思えば懐かしく、ひどく悲しい言葉に思える。