君が僕の名を呼ぶから

僕と真希は、家が隣同士の、絵に描いたような幼なじみで、




気づいたときには、僕の生活の中に真希がいた。




「おはよー!つばさくん。」




「おはよ!まきちゃん。」



幼稚園の入園式の日、僕たちは普段は着ない豪華で綺麗な服に身を包み、母親に手を引かれて桜並木の道を歩いた。




「きれいだねー。」




「ねぇ、つばさくん。あれ、なんていうおはな?」




「あれはねー、さくらっていうんだ。はるにさくはなだよ。」




「そうなんだぁ。」





……この頃は、僕も幼かったし、何より真希には何も変わったところなんかないように思えたから、何も気にしてなかった。




……ただ、桜の花に見とれている真希の横顔が、




幼いながら、とても綺麗だったのを覚えている。
< 49 / 244 >

この作品をシェア

pagetop