君が僕の名を呼ぶから
僕と真希は、家が隣同士の、絵に描いたような幼なじみで、
気づいたときには、僕の生活の中に真希がいた。
「おはよー!つばさくん。」
「おはよ!まきちゃん。」
幼稚園の入園式の日、僕たちは普段は着ない豪華で綺麗な服に身を包み、母親に手を引かれて桜並木の道を歩いた。
「きれいだねー。」
「ねぇ、つばさくん。あれ、なんていうおはな?」
「あれはねー、さくらっていうんだ。はるにさくはなだよ。」
「そうなんだぁ。」
……この頃は、僕も幼かったし、何より真希には何も変わったところなんかないように思えたから、何も気にしてなかった。
……ただ、桜の花に見とれている真希の横顔が、
幼いながら、とても綺麗だったのを覚えている。