君が僕の名を呼ぶから
小学校に入ると、真希の知的発達は、目に見えて他の子より遅くなった。
計算能力、記憶力、文字の読み書き。
通常学級で、一緒に授業をずっとしていくのには限界があった。
「あのね、つばさくん。まきね、あしたからみんなとちがうおへやで、おべんきょうするんだって。」
入学して、1ヶ月が過ぎようとしたとき、真希が僕にそんなことを話してきた。
「えっ……まきちゃんがいっしょじゃないと、ぼくつまらないよ。」
「でも、きゅうしょくは、いっしょにたべていいんだって。」
「じゃあ、いっしょにたべよ!きょうしつにもあそびにいくから。」
「うん!」
僕は、自然に真希を想うようになったんだと思う。
誰よりも真希と一緒にいたし、
何より真希が僕を必要としてくれていた。
そう思う。