君が僕の名を呼ぶから
しかし、男女が一緒にいても恥ずかしくない時期は過ぎ、
思春期に突入すると、また状況が変わってくる。
「じゃあ、翼くんと隆弘くん。この問題を解いてみてくれる?」
「「はーい。」」
次第に、僕もその思春期の中に突入していき、
段々と、余計な知識も吸収して、純粋さは失われていった。
「真希、また絵をかいてたの?」
「あっ、つばさくん!」
でも、真希は純粋さをこれっぽっちも失わなかった。
「あのね、今日は、つばさくんの、絵をかいたんだ。」
真希は、そう言って僕と真希が笑って並んでいる絵を見せてくれた。
「……すてきだね。ねぇ、でも僕がいないのに、どうして僕の絵がかけたの?」
「うーん……、あのね、つばさくんの、笑ったかおは、いつでもおもいだせるんだ。」
真希がそう言ったのを、僕は今でも忘れられない。
それからも真希は、時々僕の絵を描いていた。