君が僕の名を呼ぶから
それから僕は、汚れながらも、真希を大切に想い、日々を過ごした。




「翼って、真希のこと好きなんだろ?」



時々、少しませた同級生がそう言ってくることがあったけれど、




「うん、好きだよ。」




僕は、一歩も退かずにそう言っていた。






そのまま、僕たちは特に目立ったこともなく、小学校を卒業して、中学校に入学した。




中学校になると、真希のことを恥ずかしい意味で好きだと気付かざるを得なくなった。



「翼くん!」




「おはよう、真希。」




「あのね、この服、にあってる?」




真希は真新しい制服を身に纏っている。



真希が何を着ても、似合わない訳はないけれど、


初めて見る制服姿は、えもいわれぬ美しさだった。




「うん、よく似合ってる。」




「ありがとう!」




僕たちの中学生活は、真希の笑顔で始まった。
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