君が僕の名を呼ぶから
「真希!」
体育館の外にあるベンチに、真希は腰かけて空を見上げていた。
「あっ、翼くん!」
そして、僕の姿を見つけるといつもの笑顔になった。
「どれくらい待った?」
「すこし。」
真希はそう言うと、僕の肩に頭を乗せてもたれ掛かってきた。
「わっ、僕まだ汗くさいし……。」
突然の真希の行為に、僕はただただ驚くしかなかった。
「真希、すこしねむくなっちゃった。」
真希はそう言うと、僕の隣で規則正しいリズムを刻みながら、眠ってしまった。
……きっと、随分僕のことを待ってくれてたんだろうな。
「……好きだよ。真希。」
僕は、世界中で僕たちにしか聞こえないくらいの声でそう言った。