君が僕の名を呼ぶから
「つかれた?翼くん。」
それからしばらくして起きた真希は、僕の隣を歩きながらそう尋ねてくる。
「えっ?大丈夫だよ?」
真希が言う「疲れ」が、バスケの試合による疲れなのか、真希を支えていた疲れなのかが分からなかったけれど、
どちらだとしても、大した疲れじゃなかったので、僕はそう答えた。
むしろ後者の出来事は僕にとってラッキーなことになる。
「翼くん、カッコよかった。」
「バスケしてるところ?」
真希はゆっくりうなずく。
「こんどは、おべんとう、作って、もってくね!」
「うん!じゃあ、僕ももっと上手くならなくちゃね。」
僕と真希だけしか知らない、キラキラした出来事がたくさんある。
誰にも語りたくないほど、キラキラした宝箱に鍵をして閉じ込めておきたいほど。
……少なくとも僕はそう思う。