君が僕の名を呼ぶから
「よんでくれて、ありがとう。」




真希はそう言うと、その手紙を鞄の中に閉まった。




「……ねぇ、真希。」




「うん、なぁに?」




「……手、繋ごっか。」




……僕は何を言っているんだろうと思った。




嫉妬からなのか、焦りからなのか、気づいたときにはそんな独占欲に身をまかせた言葉を口にしていた。




「……うん!」




真希は、僕がそんなことを考えているとは思ってないだろう。




僕は、とても嬉しそうに手を握るこの柔らかな微笑みを、ずっと守っていきたいと思った。
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