君が僕の名を呼ぶから

「なぁ、坂井孝太っていう子知ってる?」



翌日の朝、僕は友だちを捕まえて孝太のことを聞いていた。




「あぁ、俺らの1つ上にいるよ。確か、ものすごい達筆でなんか賞とかもたくさんもらってるとか。」





……うん。確かに、あの手紙に書かれていた字も、びっくりするくらいに上手かった。



「……会いたいんだけど。」




「行けばいいじゃん。俺はよく知らないけど、同じ学校にいるんだからさ。」




「……それもそっか。」




何も文句を言ったり、説教をするつもりじゃない。



まして相手は先輩だし、真希はかわいいから、惚れられても無理はない。




ただ、どんな子かだけ見ておきたかった。
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