君が僕の名を呼ぶから
話を聡史とのことに戻したい。




僕は聡史が当然人気者であろうと思っていた。




男女を問わず。




顔は整っているし、明るい。



人気者としての要素が整っているから。




僕はその正反対。



自ら周りに心を閉ざし、誰が見ても暗い印象を抱くはずだ。




だから、聡史のようなキラキラした笑顔の持ち主が、



僕のような人間と友だちになりたい理由が分からなかった。




聡史なら、誰もが友だちになりたいと願うのに。




そう思っていたある日、僕は予期せぬ言葉を聞く。




「あの……平岡くん?」




その日は、朝からすごく雨が降っていて、




何か悪いことが起こりそうな感じがしていた。




「……何?」



実際に、入学してから僕の存在を無視していたような女子から話しかけられてしまった。




「……平岡くんって、松田くんと仲良しなの?」



「……どうしてそんなことを聞くの?」




僕には本当にその意味が分からなかった。
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