君が僕の名を呼ぶから

「その壁にぶち当たった時、翼くんが乗り越えられなかったら、真希ちゃんを傷つける。僕と翼くんが違うのは、そこです。僕は真希ちゃんを傷つけない。」




……彼の言うことはただひたすらに耳が痛かった。




「僕はこの障がいを持っていることで、色んなことを諦めてきました。でも、それは僕の人生で、家族には迷惑をかけたけど、変えようのないことです。真希ちゃんもきっと。でも、翼くんがそんな真希ちゃんの傍にずっといるってことは、翼くんも色んなことを諦めいといけなくなる。」





「僕が……諦める？」




彼は、ゆっくりうなずいた。




「……今は、分からなくていいです。きっと分かるときがきます。」




時間を見ると、昼休みがもうすぐ終わるころになっていた。