君が僕の名を呼ぶから

「松田くんね、誰とも話さないの。私たちが話しかけても、冷たくあしらわれちゃって……。でも、平岡くんといるときの松田くんはいつもと違ってキラキラしてて、何でなのかなって……。」




彼女はオドオドしている。



そして、また話の内容を飲み込めず、僕もオドオドしていたはずだ。




……聡史が周りに冷たい？




まるで僕と同じだった。



「……嘘じゃないの？」




「嘘なんかじゃない！……私の友だちがね、松田くんに手紙で告白をしたらしいんだけど、返事が返ってこなくて、それからすっかり無視されるようになったみたいで……。嫌ならその返事だけでも言ってあげればよかったのにって思ったの。」



……なるほどね。




「僕は聡史にそういう部分があったことを今知ったよ？」




「……何で平岡くんだけには優しいのかな？」




「さぁ。それは聡史にしか分からないよ。でも、僕はその理由を聡史に聞くつもりはないから。」



僕はそう言い放って、彼女から離れた。