君が僕の名を呼ぶから


「今日から、みんなのお友だちになる松田聡史くんです。仲良くしてあげてね。」




僕は、そう紹介されて周りを見回した。




男の子もいれば、女の子もいる。




年代もバラバラだ。





でも、共通して言えることは、みんなニコニコしていた。





僕と同じような境遇なのに、どうしてみんなが笑っていられるのかがとても不思議だった。





「松田くんはねこさんチームね。」




猫、犬、うさぎに、ひつじさん。



ここでは高校生を中心にその名前で別れているチームを作り、互いに協力して生活をしていくらしい。




「こんにちは。ねこさんチームのリーダーの伊藤祐吾(いとうゆうご)です。よろしく。」




「……よろしくお願いします。」




僕は、その高校生の男子に挨拶をした。




周りの同じチームの子たちも、僕に挨拶をしてくれた。




……でも、僕は心の穴を塞げなかったし、



状況を飲み込むこともできなかった。
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