君が僕の名を呼ぶから

……そんな中で1人、目につく女の子がいた。




彼女は僕と同い年ぐらいで、とても美しい容姿をしていた。




ただ、周りの子たちとは違い、とても冷たく悲しい表情を浮かべていた。




「あぁ、あの子はね、佐藤涼子(さとうりょうこ)ちゃん。君と同じ小学2年生だよ。」




リーダーの伊藤さんは、僕が隅にいる彼女を見ていると分かると、すぐに紹介をしてくれた。




「佐藤さん……。」




これが僕と涼子の出逢いだった。




僕は涼子のことを好きになるなんて思いもしなかったし、きっと涼子もそんなことは考えていなかったはずだった。





「部屋に行こうか。」




「……はい。」




僕は、何だか言葉に言い表せないくらい複雑な感情を抱き、彼女の悲しげな表情に後ろ髪を引かれながら、その場を後にした。
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