君が僕の名を呼ぶから
「……私、こんなんだからみんな近寄ってきてくれないよ。私はそれがいいんだけど。だから、松田くんが初めてなんだ。こうやってしつこく私に話しかけてきたの。」
「……じゃあ、僕が初めての友達になるんだ。」
……僕はこの時、久々に笑っていた。
笑おうと思って笑ったんじゃない。
ただ自然に、頬が緩み、笑みがこぼれていた。
「……よろしくお願いします。」
そう言って、僕の前に差し出した手のひらを、僕はできる限り優しく包み込んだ。