続 初めての恋 ~大切なあなたへ~
連絡先、場所、病院…麗が言っても、聞き取るのは難しいだろうと配慮されたらしく、メモを残して、出て行った。


中学の頃、透が引っ越して…ポッカリ空いた穴を、再会という形で埋めてくれた透…


会えて本当に嬉しかったし、幸せだった。


なのに、どうして?どうして私をまた一人にするの?こんな事なら、あのまま透と再会しなければ良かった…?

一晩中眠れなかった。なき張らした目が痛々しい…


迎えに来た女性が、麗の持つもの喪服を持って、車で空港に向かった。


透は約束してくれた。今度は一緒に九州に連れて行くと


それなのに、何故私はこんな哀しい姿で、ここにいるの?


どこをどうして来たのかもわからない位に、気持ちは落ちていた。

透の実家に連れていかれた。


両親らしき人が出てきて、挨拶をしてきた。とにかく会ってやって…という…


言われたまま、部屋に入ると、頭に包帯を巻かれていたが、顔は少し腫れていたが、寝ているように見えた。


麗は、目の前の現実を受け入れる事ができなかった。背中を押されたが


「嫌だ!」


と言って泣き崩れてしまった。意識が遠くなった


麗はホテルで、透の同僚が付き添う形で、寝泊まりし、通夜と葬儀に出た。


最後まで、透の体には触れられなかった。
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