極上お姫様生活【完】
あたしの腕をがっちり掴み、携帯電話を取り上げたのは…新選組副長。
…じゃなかった、八木原君。
「八木原君?」
「うちは出会い系じゃないんで、こうゆうの禁止なんすよ」
八木原君は口角を上げて笑う。
「別にアド聞くぐらい良いじゃねぇか。お前らだって、そこら辺の女たちに教えてんだろ?」
え…?
チクンと、胸が痛んだ気がした。
八木原君はあたしの動揺に気付いたのか、舌打ちをして男の子を睨んだ。
「誰が教えるか。つかお前、余計な法螺(ほら)吹いて蒼空を不安にさせてんじゃねぇよ、…強制退場させんぞ」
冷たく、凄みのある声で、だけど八木原君は笑っていた。
「っ、ひ」
「追い出される前に出ていった方が良いんじゃねぇの?」
男の子は、顔を引き攣らせながら教室を飛び出していった。
「おい、蒼空」