極上お姫様生活【完】
「…っ、蒼空!」
グッと腕を掴まれ、身体ごと壁に押し付けられる。
今、名前で呼ばれた…?
訳がわからず、ぽかんと櫻田君を見上げると、真剣な表情で見つめられる。
「違う」
「え…?」
「そうゆう意味で、……泣かせようとして言ったわけじゃない」
櫻田君は、あたしを真っ直ぐ見たまま、苦い顔をする。
「邪魔とか、嫌いとか、そんな風に思ってるわけじゃないんだ」
優しい言葉が、染みていく。
「ただあんた…可愛いから。周りの男たちの厭らしい視線とか、耐えられない」
何か…違う涙出てきそう。
だけど目を逸らしちゃいけない気がして、あたしはただ櫻田君を見つめていた。
「俺の頭ん中、あんたのことばっかりで…仕事に集中できないんだ。だから、迷惑と言った」
櫻田君は恥ずかしそうに言葉を紡いでいく。