極上お姫様生活【完】
「お前、全然分かってねぇ」
「へ?」
みんなを見ると、何故か呆れ顔。
ちょっとムッとするんですけど。
「あのな蒼空、よく聞けよ」
八木原君が距離を詰めたまま、あたしの顔を覗き込む。
「ここにいる全員は、お前と旅行に行きたいんだ。お前の代わりなんていねぇし、いてほしくもない。迷惑とか申し訳ないとか、そんな事思う必要ねぇんだよ」
真っ直ぐ突き刺さる八木原君の言葉が、あたしの心を温める。
じわり、と目頭が熱くなる。
「俺たちはお前と仲良くしたいし、何でも相談し合える仲間になりてぇ。遠慮なんかいらないんだ、蒼空」
「っ、どうしてそんな…優しいんですか…」
溢れる涙を拭いながら、あたしは顔を上げる。