極上お姫様生活【完】
ぞろぞろとバスに乗り込んでいくみんなを後ろで見てると、翼ちゃんがあたしの肩をポンと叩いた。
「蒼空ちゃん、私…水着持ってないんだよね」
小声で言いながら顔をしかめる。
「え、翼ちゃんもですか?」
「去年の夏、彼氏に破かれちゃってさー。あ、今はもう元彼だけど」
……何があったんですか。敢えて聞かないけど。
「あたしも持ってないので、後で買いましょう」
「うん、ありがとー」
「浅村さん、翼、行きますよ」
……え、今。
「はーい」
あたしの動揺を気にすることなく、翼ちゃんがバスに乗り込む。
あれ、別に普通なの、これ?