極上お姫様生活【完】
みんながあたしたちに注目してる。だけど、中村君は全く気にしてない様子であたしの背中を擦ってくれている。
「っ…中村君、あたしもう平気ですので…」
「駄目。だって蒼空ちゃんすごくうなされてたし、苦しそうだった」
中村君は真剣な目であたしを見る。心配、してくれてるんだ…。
だけど、これ以上迷惑掛けるわけにはいかない。
「心配掛けてごめんなさい。ほんとにもう大丈夫なので…」
とりあえず距離を置こうと立ち上がる。と、直ぐに手首を掴まれて再び座らされた。
「大丈夫じゃないって言ってんだよ。蒼空が泣いてんのに放っておけるわけねぇだろ。つか、俺から逃げようとすんな」
…………。
目の前であたしに説教しているこの人は、一体誰なのでしょうか。
いや、確かに容姿は中村君なのですが…。