極上お姫様生活【完】
「あたしの方こそ、偉そうな事言ってごめんなさい」
ぎゅっと手を握り返す。顔を見合わせると、自然と笑みが零れる。
「さっきは応援なんか要らないって言っちゃったけど……」
翼ちゃんは俯きながら恥ずかしそうにもごもごと口を動かした。
もちろん、言いたい事は分かってる。
「はい、全力で応援させていただきますのでご心配なく」
ふざけたように笑うと、翼ちゃんも顔を上げて笑った。
「ありがと、蒼空ちゃん」
「こちらこそ。…ていうか、さっきは呼び捨てで呼んでませんでした?」
「え、そうだっけ。じゃあこれからは“蒼空”って呼ぶ」
心がじんわりと温かくなった。翼ちゃんとの間にあった溝が埋まったんだ。
嬉しくて止まった筈の涙がまた溢れだした。
「もう、泣かないの!ほら水着一緒に選ぼ?」
困ったように笑いながら、あたしの目尻を指で拭ってくれる翼ちゃん。
「はいっ」
こうしてあたしたちは水着選びに没頭していった。