極上お姫様生活【完】
温かい気持ち
あーやばい、苛つく。
「遅いな、蒼空ちゃん」
「仕方ないよ、女の子はいろいろ忙しいんだから」
「何だそれ」
蒼空たちを待ってる間、俺たちは海の家の近くに広げたレジャーシートに座って海を眺めていた。
後ろで遊哉たちが騒いでる。うるさい。
「ねー斎、さっきから何イライラしてるの?」
遥登が心配そうに俺の顔を覗き込む。お前が原因なんだけど。
「お前、何でさっき蒼空にキスしたんだ」
「…仕方ないじゃん。あのまま蒼空を放っといたら、やばい事になってたでしょ」
だからって…あのやり方はどうなんだよ。
黙ったまま顔を下げる俺を見て、察したように遥登が口を開いた。
「……やきもち、妬いちゃった?」
ピクリと反応して顔を上げれば、にんまりと笑みを浮かべる遥登が視界に映る。
何だその余裕の顔は。むかつく。