極上お姫様生活【完】
「…見られてますよ、翼ちゃん」
あたしはパーカーを羽織って、翼ちゃんと砂浜を歩いていた。
遠慮なく刺さる、異性の厭らしい視線。
いくら翼ちゃんが美しいからってそんなにじろじろ見なくても…。
改めて自分の体型を眺める。モデル体型の翼ちゃんと正反対のいわゆる幼児体型。
胸だってないし…。
自嘲気味に呟き拗ねていると、翼ちゃんがあたしの肩に手を置いてため息を吐く。
「何言ってんの、男どもは蒼空に釘付けでしょ」
ん、今なんて?
ふっと顔を上げると、何人かの男の人とバッチリ目が合う。
あたしと目が合うと気まずそうに目を逸らすのは、あたしが不細工だからか…、悔しいけど仕方ない。
「翼ちゃん、あたしが守ります」
何としてでも翼ちゃんをこの変態さんたちから守らなくちゃ。
「……無自覚って怖いわね」
翼ちゃんが諦めたように呟く。
あたしにはその意味が全く分からなかったけど。