極上お姫様生活【完】
「どうして八木原君が謝るんですか?あたしが勝手に飛び出しただけなのに…」
正直ばかだったと思うけど、後悔はしてない。
翼ちゃんが無事で何よりなんだから。
「…俺がもっと早く気付いてれば、お前はこんな傷つくる必要なかった。……ごめん」
八木原君は悲しそうな、悔しそうな顔をする。
八木原君は悪くないのに。あたしがそんな顔をさせてしまってるんだ。
「こんなの、大した事ありません。お願いだから…謝らないで下さい」
グッと唇を噛み締めて、八木原君を見つめる。多分あたし、泣きそうな顔してる。
だけど、八木原君には笑っていてほしいんだ。
「…分かった」
くしゃりと顔を緩めてあたしに笑い掛けてくれる。あたしもつられて笑った。
その時。
「んもう、しつこいな!」