極上お姫様生活【完】
どうして?
さっきからあたしの腕を掴んだままそっぽを向いている八木原君。彼の考えてる事がさっぱり分からない。
「だったら…あたし一人で行きますから、離して下さい」
そう言うと、八木原君はやっとあたしを見る。見た事のない、酷く冷たい目で。
「ふざけんな、一人でなんか行かせるか」
荒々しい声。八木原君は相当苛立ってる様子だったけど、あたしだって引くわけにはいかない。
「どうしてですか!あたしは中村君を助けるだけです!それの何が悪いっていうんですか!?」
「あいつにとってあんなの慣れっこなんだよ!お前が助けに行かなくても自分で何とかするだろ」
どうして、どうして。
そんなに酷い事を言うの。
「八木原君の分からず屋!!っ…離して!!!」