極上お姫様生活【完】
気付いた事
サンダルが軽快な音を立てる。それと共に、八木原君が近付いてくる。
きっと怒ってるんだ…。
「っ、」
嫌いだって言われたら。仲間じゃないって言われたら…。
……そんなのやだよ。
「ご、ごめんなさいっ…」
八木原君が言葉を発する前に、あたしは頭を下げた。できるだけ深く。
「…酷い事言って…本当にごめんなさい。八木原君はあたしの何十倍も中村君の事知ってるのに」
中村君が無事だった事はほんとによかったと思ってる。だけど、八木原君とギクシャクするのは嫌だ。
勝手な事言ったのはあたしだから、許してもらえなくても仕方ないけど。
「……蒼空」
すぐ近くに八木原君の気配がして、あたしはぎゅっと目を瞑る。
「顔上げろ」