極上お姫様生活【完】
「お前が、脱がせたのか」
言葉を選び忘れた。だけど、そんなのどうでもいい。
「え、何が」
遊哉は意外と、こういう事に疎い。観察力が足りない、というべきか。
「パーカーの話?まぁ、脱がせたけど」
なんて事なく言ってのける斎に、少しだけ苛立つ。
「あいつの事、何とも思ってないのか」
斎を睨んだまま、興奮しないように落ち着きながら問う。
「…さぁな」
「暇潰しとしか思ってないのか。…浅村を弄んだら、俺が許さない」
考える間なく紡がれていく言葉。何だこれ、嫉妬してんのか俺…。
「許さない、ねぇ…。似合わない事言っちゃって」
変わらず余裕のある斎の微笑。何というか、悔しい。
「……ま、安心しろよ。あいつを弄ぶような事は絶対しない。誓うぜ?」
「……」
斎はどこか掴み所がなくて。だけど嘘だけはつかない真っ直ぐな男だから―――俺は信じることにした。
「お前こそ、あいつを泣かせるんじゃねぇよ?」