極上お姫様生活【完】
溢れて、流れて、止まらない。
心の隅で固まっていた黒い塊がどんどん大きくなって…溢れ出す。同時に涙も零れた。
やっぱり、居場所なんて―――。
「じゃあ、はっきり言わせてもらうわ」
不意に頭上から八木原君の声がして顔を上げる。冷たい瞳に身体が固まる。
「俺、今すっげぇむかついてる」
「っ」
「怒りでおかしくなりそうだよ、どうしよう」
淡々と落とされる、感情のない言の葉。ぎゅっと拳を握り、それを受け止める。
「あぁ、俺もやっぱ怒り治まんねぇや。我慢しようとしたけど無理、苛つく」
「…こんな感情初めてだ。俺も許せんな」
嫌われてたのに、あたしは何にも知らないで…。馬鹿みたいじゃない。
「ふ…っ……、」
泣いちゃいけない。そんなのみんなにとってはウザイだけだもん。
だけど、そんな気持ちとは裏腹に涙は止まってくれない。