極上お姫様生活【完】


「違う…違うんだよ、蒼空」


クイ、と顎を持ち上げられて上を向かされる。切なそうな眼差しの八木原君に見つめられて、ドキンと胸が高鳴る。




「むかついてるのは、自分自身にだ」


「え?」



「お前を守りたくて、泣かせたくなくて……だけど、結局こうやって辛い思いをさせちまってる」


そんな事ない。辛い思いをさせてるのはあたしの方。




「お前が“遥登君”って呼んで、どうしようもない怒り湧いちゃった」


ごめんな、と橘君があたしの頭を撫でる。




「…っ」



< 291 / 397 >

この作品をシェア

pagetop