極上お姫様生活【完】
「違う…違うんだよ、蒼空」
クイ、と顎を持ち上げられて上を向かされる。切なそうな眼差しの八木原君に見つめられて、ドキンと胸が高鳴る。
「むかついてるのは、自分自身にだ」
「え?」
「お前を守りたくて、泣かせたくなくて……だけど、結局こうやって辛い思いをさせちまってる」
そんな事ない。辛い思いをさせてるのはあたしの方。
「お前が“遥登君”って呼んで、どうしようもない怒り湧いちゃった」
ごめんな、と橘君があたしの頭を撫でる。
「…っ」