極上お姫様生活【完】
「―――っ、くしゅっ…!」
あれから遊びまくって、気が付くと空は赤みを帯びていた。もうこんな時間なんだ…。
「大丈夫か、蒼空。…寒くなってきたな」
八木原君が眉を下げてあたしの心配をしてくれる。おまけに羽織っていたシャツを掛けてくれた。
「あ、大丈夫です…!」
「いいから着てろ。お前のパーカー、俺が置いてきちまったんだし」
そういえば…あたしのパーカー、バスに置きっぱなしなんだっけ。
「ありがとう…ございます」
素直にお礼を言う。ごめんなさい、じゃなくてありがとう、と。
「ん」
八木原君は目を細めて笑う。あ、今きゅんてした。
「皆さん、そろそろホテルに向かいましょうか」
松神先生、何か久しぶりに見た気がする。
その隣にはやけに嬉しそうな翼ちゃん。松神先生と何があったか、後で聞かなくちゃ。
「おーそうだな、日も暮れてきたし。じゃ、着替えてくるか」