極上お姫様生活【完】
「でも本当信じられない!朝陽があんたの事好きなんて」
「え、あたし信じてませんけど」
松神先生があたしを好き?ないない、あり得ない。
「信じてなくていいから朝陽に嫌われなさいよー」
ズバズバと毒を吐く翼ちゃんに苦笑しながら、びしょびしょの髪をドライヤーで乾かす。
「てか、あんたはどうなわけ?」
「へ?」
思わず手が止まる。翼ちゃんは睨むようにあたしを見つめながら近付いてきた。
「あいつらの中で、大切な人はできた?」
大切な人……?
「みなさん、大切です。…て、何でそんな顔するんですか」
翼ちゃんは全然納得いってないらしく、さらに不機嫌な目であたしを見る。
「なに生温い事言ってんのよ、ばか蒼空」
ばか…!?
「どう考えたって、全員があんたの虜じゃない。特にあの4人は…ベタ惚れって感じだし」
「何の話ですか」
意味が分からない。あたしは本当にばかなんだろうか。