極上お姫様生活【完】
「みんなが不憫で仕方ないわ…。とにかく、あんまり天然っぷり発揮しない方がいいんじゃない?」
天然なつもりはこれっぽっちもないんですけど。
「気を付けます…」
水着を鞄に入れてから、あたしたちは更衣室を出る。既にみんなは着替え終わっていて、入り口で待ってくれていた。
「お待たせしました」
「おー、ちゃんと髪乾かしたか?」
「はい、ばっちりです」
橘君がくしゅ、とわざと音を立ててあたしの髪を乱す。せっかく梳かしたのに…!
迷惑な顔をしても橘君は嬉しそうに笑うから、つられてあたしも笑ってしまった。
「泊まるホテル、こっからすぐらしいぜ」
「歩いて行けるんだーっ」
バスの中にパーカーを置きっぱなしにしていたあたしは、結局取りに戻るはめになりましたとさ。