極上お姫様生活【完】
「それ、遊哉が公衆電話にノート置いてくるため」
「え!?」
なんて用意周到な!最初っから肝試しの事で頭いっぱいだったんだ。すごい。
「こっそり運転手に頼んどいたんだ。松神先生には怪しまれないように上手くやってくれって」
どんだけ肝試しやりたいんですか。
「つーわけで、最初は斎と湊な。いってらー」
「くっそ、蒼空と行きたかったのによ」
「じゃんけんなんだから仕方ない。諦めてさっさと済ませよう」
こうして八木原君と櫻田君が薄暗い林の中へと消えていった。ざわざわと木々が揺れ、不気味な音を鳴らす。
「っ、」
暗い所には、トラウマがある。少し考えただけで身体が異常を来す。
「……大丈夫か」
自分を抱きながら固まっていると、横から心配そうな声がした。
大丈夫―――そう言いたいのに、口を開けば震えた声を聞かれてしまう。コクコクと頷くしかなかった。
「俺が傍にいるから、何かあったらすぐ言えよ?」