極上お姫様生活【完】
どれくらい走ったか想像もつかない。でもアオカミキリモドキの姿はすっかりなくなっていた。
「は…っ、…」
隣で息を整えながら汗を拭う蒼空。心身ともに限界みたいだ。
「………あ」
辺りを見渡していると、光を見つけた。真っ直ぐ差す明るい光に、俺は心底安心した。
「蒼空ちゃん、見える?」
ポンポンと肩を叩き、光を指差す。それを見た蒼空はふっと安堵の息を漏らし、涙を浮かべた。
「よかったぁ……」
「歩けるか?」
蒼空の身体を支えながらゆっくり立ち上がらせる。
「あの…ありがとうございます」
「え?」
振り返ると頬を赤く染めながら恥ずかしそうに俯いている蒼空。
「みっともなく騒いじゃいましたけど…橘君が一緒にいてくれたから、安心できました」
ニコリと笑う蒼空が可愛すぎて、俺は彼女を強引に抱き寄せた。