極上お姫様生活【完】
「いや、何でもない…。行こうか?」
俺はすっと身体を離し、代わりに手を取る。
蒼空は本当に意味が分かってないらしく、きょとんと首を傾げたまま黙って俺の少し後ろを歩く。
―――俺以外の男に触らせんな。
うっかり言ってしまいそうだった。蒼空の彼氏でも何でもないくせに。
言ったらどうなるんだろう。蒼空は困ったように俯いて…戸惑って…俺を避けてしまうだろうか。
そんな気まずい関係になるくらいなら……言わない方がましだ。
あくまでも友達として、蒼空の傍にいよう。今は―――だけど。
俺はそんな風に決意して、光へと歩き続けた。