極上お姫様生活【完】
暗闇の戸惑い
「あ、やっと帰ってきた」
どうやら光の正体は八木原君の携帯だったらしい。無事に帰ってこれたんだ。
「やばかったろ、あの虫」
楽しそうに笑う八木原君に、橘君は顔をしかめる。
「笑い事じゃない。あんな大量にいたら焦るわ」
橘君はグイと汗を拭いながら、な?と同意を求めてきた。うんうんと何度も頷くと、みんなはきょとんと目を丸くする。
「大量…?大袈裟な」
「確かに数はいたが、簡単に逃げられる程度だったろう」
え?
「あれが簡単に逃げられる?冗談じゃない、死に物狂いだったぜ」
確かに、あれは死ぬかと思った。どこを見ても虫だらけなんだもん。
「……じゃあ、数が増えちまったんだろうな」
みんなはあれに遭遇してないのか…羨ましい。いや、逆にあんな恐ろしい思いをした人が少なくて良かったかも。
「ほんとあり得ねぇよ…」
こうしてある意味恐怖の肝試しは幕を閉じたのでした。