極上お姫様生活【完】
「えー!私の惚気はー!?」
翼ちゃんは手足をバタバタさせ、まるで駄々をこねる子どものよう。
「また後で聞きますから!」
言い逃げるように部屋を出て、遥登君と廊下を小走りで通る。
「…ホテルの外でもいい?」
「はい」
さりげなく手を繋がれ、ドキンと心臓が音を立てた。恥ずかしくて遥登君の顔が見れない。
ホテルを出ると、外は涼しく心地よかった。風も気持ちいい。
「…ごめん、いきなり呼び出したりして」
さっきから申し訳なさそうな顔をしていた遥登君が、ボソリと声を出す。
「全然大丈夫ですよ、…それより、何かありました?」
いつも元気いっぱいの彼がこんな表情を見せるなんて、何かあったに違いないよね。
悩み事…とかかな。
「蒼空、あのね…」