極上お姫様生活【完】
暗い空間で、遥登君の声がはっきりと響いた。それでもあたしは、耳を疑わずにはいられない。
「遥登…君?」
瞬きを数回してから、声を出す。遥登君は真っ直ぐにあたしを見たまま目を逸らさない。
いつもと違う遥登君の雰囲気に、思わずたじろいでしまう。掴まれた右手が熱をもつ。
―――好き。と
その言葉の意味が分からなくなる。彼はいきなり何を言ってるんだ、と思ってしまう。
「ちゃんと聞いてた?僕、蒼空の事好きって言ったんだよ」
この耳が捉えた言葉。間違っていなかった。
「…好、き……って、あう、えと」
駄目だ動揺しちゃう。遥登君の視線を感じるけど、顔を上げる事が出来ない。
だって…あり得ない。
あたしを好きだなんて、まさか。