極上お姫様生活【完】
「ずっと、想ってた。本当は伝えるつもりなかったんだけど」
「はる…っ」
「ごめん、もう我慢できないや」
ドキドキと心臓がうるさく騒ぎ始める。遥登君の瞳が全てを見透かしてそうで怖い。
うん、て言えば遥登君と付き合う事になるんだよね。恋人同士に…。
ごめんなさい、て言えば……あたしたちはどうなるんだろう。きっと友達じゃいられなくなる。
分かんない。自分の気持ちが分かんないよ。
「蒼空、返事はいらないから」
黙ったまま俯いていると遥登君の声がして、顔を上げる。
少し困ったように笑う彼が、あたしの頭を撫でた。
「肝試し行けなくて一人になった途端、急に余裕なくなっちゃって…だから、気持ちだけでも伝えておきたかったんだ」
最後にごめん、と付け足して遥登君はあたしから目を逸らす。
何も言わないあたしは、なんて卑怯なんだろう。こんな曖昧な態度じゃ、遥登君だって困るよ。
頭では分かっていても声を出す事が出来ない。