極上お姫様生活【完】
「いえ、見てませんが」
これは本当の話だ。あいつらの姿は大分前から見ていない。
「そうですか…」
眉を下げる蒼空を見て心が痛む。
「どうして彼らを探しているんです?」
そう尋ねれば蒼空はゆっくり顔を上げて小さく笑った。
「一番傍にいてほしいのは誰なのか…知りたくて」
ズキンと心が音を立てた。明らかに、その候補の中に俺の存在はない。
蒼空が、また一歩俺から離れていく。
「っ、…せんせ?」
気が付くと蒼空の腕を強く掴んでいた。失いたくない。
「浅村さん、…行かないで下さい」
「え……きゃっ!」
力強く抱き締めればビクンと震える蒼空の身体。
「ちょっ…離して下さいっ」
藻掻いても逃がすわけにいかない。気が付かせたくない。
「じっとして」