極上お姫様生活【完】
「蒼空に触んな!」
……また邪魔するのか、八木原斎。
「っ…」
蒼空が声に気付き、俺から逃げようと身体を捩る。さっきより頬が赤く染まっているのはあいつが原因なのか?
っ、…あいつなのかよ?
「おや…顔が赤いですよ?それに…ここも」
激しい嫉妬心に駆られ、八木原に見せつけるように蒼空の耳を甘噛みする。声を押し殺す蒼空を見て、俺は思わず苦笑した。
……嫌われたな、完璧に。
「触んなって言ってんのが聞こえねぇのかよ…!」
無理矢理俺たちを引き剥がして、その間に割って入る。
蒼空は八木原の背中にしがみついて震えている。…そんなに、俺が怖かったのか。
「何考えてんだよ」
八木原の怒りを露わにした低い声が響く。弁解する気は更更ない。
「申し訳ありませんでした。少し、やり過ぎてしまいましたね」
いや…少しどころじゃないか。